ひこうき雲

2016年3月に大学生の長男を自死で亡くしました。
長男への気持ちなどを綴っています。

お兄ちゃんだ!

最近、不思議な事が起こると

何でも長男の仕業になってしまう。


カタンと音がすれば「お兄ちゃんだ!」


バタンと何かが倒れれば「お兄ちゃんだ!」


ペットの犬が誰もいない方をジッと見てれば

「きっと、お兄ちゃんがいるんだ!」

吠えても「お兄ちゃんだ!」


挙げ句の果ては電球がパッと切れても

「お兄ちゃんだ!」と言い

「違うよ、お母さん。電球が切れただけだよ」

と次男に突っ込まれる始末…


「お母さん、何でも俺のせいにするなよ」

と、長男が苦笑いしていそうな気がします…


だって、近くにいるって思いたいんだもん。

ひこうき雲

タイトルを「ひこうき雲」にした理由は3つあります。


1つ目は、 ユーミンの歌「ひこうき雲」


何故、この歌のタイトルにしたかは、ネットなどで調べて頂けたら多分察しがつくのではと思います。



2つ目は、長男が亡くなった2日後に届いた本。

長男が自分で注文していたもので、結局読む事はなく、形見のような本になってしまいましたが…


その本の題名が「飛行機のある暮らし」でした。



3つ目は、私は天気の良い日にベランダで洗濯物を干しながら雲を眺めるのが好きなのですが、息子が亡くなって1ヶ月ほど経った頃だったでしょうか。


ベランダで洗濯物を干し終えて空をボーッと見ていたら、面白い雲を発見したんです。

それは、飛行機雲のような線状の雲なんですが、飛行機雲よりも太くて鱗のような模様もあり、まるで竜か蛇を思わせる雲でした。


それが、虹のような大きな半円状で空にあるんです。

思わず見入ってしまい空を見上げていた時に

ふと

「あ〜、きっと雲を眺めるのが好きな私への長男からのプレゼントだ!」

とそう感じました。


「でも、竜雲?蛇雲?なによ、あのおかしな雲は」

そう呟くと

「何だよ、折角プレゼントしたのに。お母さんは我儘だな。竜や蛇が嫌なら飛行機雲でいいじゃん」

そう、長男が笑いながら言っているような気がして、ちょっと泣いてしまいました…


なので「ひこうき雲」です。

ああ、いないんだね…

長男が逝ってしまって三ヶ月とちょっと。

こんなに長い間離れたのは初めて…


段々と長男が居ない生活に慣れ始めている。


でも、フッとした時にまざまざと居ないことを

実感する時がある。


外食に行き「何名様ですか?」と尋ねられ

「4人…いえ、3人です」と間違えた時。


買い物に行き

「えーと、とんかつ用の肉を4枚…あっ、3枚か」

と考えてしまった時。


出掛けて、帰るのが遅くなってしまった時に

「誰か家にいるかな。お父さんは今日は遅いからまだだし、次男は今日は塾でいないし、お兄ちゃんは…」と考えてハッとした時。


そして、家族全員が記載されている住民票を提出しなければならなくて貰いに行った時。

長男の名前の無い住民票を見て愕然とし、泣いてしまった。


選挙の通知が私と主人の分しか届かなかった時。

いつもなら長男の分も届くのに。


ああ、もう貴方は居ないんだね…


こんな形ではなく、一人暮らしとか結婚とか

嬉しい形で居なくなってくれたらよかったのに…