長男の料理
長男は食べる事が大好きでした。
ただ食べるだけでなく、時間がある時は家族のために料理を作ってくれることもたまにありました。
鳥の唐揚げ、ハンバーグ、カルボナーラ、あんかけ焼きそば、焼き鳥丼…
と、レパートリーも幾つかあり、味もなかなかでした。
そんな長男の料理の中でも忘れられないのが、家族があまりに美味しくて驚いたタンシチューです。
牛タンを丸ごと一本買ってきて下ごしらえをし、半日以上かけて煮込み、家族に振舞ってくれたのです。
タンが柔らかくて、絶品でした。
後でちゃっかり材料費を請求されましたが、それでも家族みんなでレストランに食べに行くよりずっとずっと安いお値段で、大満足の逸品でした。
また、祖母の誕生日にはビーフシチューを作り、祖母を喜ばせたりもしました。
おふくろの味ならぬ息子の味…
たまに長男の料理が恋しくて堪らなくなります。
いいえ…
味よりも、キッチンに立って料理していた長男の姿が堪らなく恋しいです。
そんな食べることが大好きだった長男が書いた遺書には
「ここ何日か食欲が無かった。今は食べたいものが何も浮かばない。お母さんは俺の好きなものをわかってるからどうか好物を供えて下さい」
と書いてありました。
長男は自死する何日か前に体調を崩し、ほとんど食べていない状態で旅立ちました。
そんな長男が不憫でたまりません…
「お母さん、これ美味いよ!」
と笑顔で食べていた長男を思い出します。
もう美味しいって食べてる嬉しそうな顔を見られないんだね…
寂しいよ…
寂しくて堪らないよ…
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