ひこうき雲

2016年3月に大学生の長男を自死で亡くしました。
長男への気持ちなどを綴っています。

辛い年始

大晦日には毎年、家族揃って横浜の中華街へ行くのが恒例だった。

中華街で目指すのは決まって食べ放題のお店。

長男も次男もとにかくよく食べた。


そして、

「美味しかったね。また来年、来ようね」

必ず帰る時にそう言っていた。


また来年。

家族揃ってまた来年。

それが当たり前だった。


でも、去年はそう言ったら

「俺は無理だ。受験目前だから」と次男が言った。

それに対して私が

「いいじゃない。大晦日ぐらい」

そう言った記憶がある。


今年は行けなかった。

次男が受験だったのもあるし、長男を思い出す中華街へは辛すぎて行けなかった。

恐らく、もう行くことは無いんじゃないかな…



そして長男がいなくなって初めての大晦日の夜。

クリスマスに続いてまた長男の夢を見た。


クリスマスの時は楽しい夢だったけど、今回は辛そうに俯いて長男が家のソファに座っていた。

そして長男の横には私が座っていた。

「辛いなら少しゆっくり休みなよ。先の事は休んでゆっくり考えればいいよ」

そう話し掛けたら長男の目から涙が溢れた。


何で生きている時に

そう言ってあげられなかったんだろうか…

起きてから、もの凄い後悔に襲われた。


そして元日の朝。

長男がいない元日。

今年は初詣も年賀状もなし。

来客もなし。

静かな静かな朝だった。


家族揃って迎えるお正月。

みんなで笑っていたお正月。

そんな当たり前の風景が実は奇跡だったという事が今になって身に染みる。



周りの人達が楽しそうで賑やかなお正月が今年はただただ辛かった。