ひこうき雲

2016年3月に大学生の長男を自死で亡くしました。
長男への気持ちなどを綴っています。

わかってとは言わないけど…

長男を亡くしてから感じたことは周りの人との溝です。


子どもを亡くしたと伝えると

「私にも子どもがいますから、お気持ちはわかります」と返されることが多いです。


もちろん、相手が悪気があって言ってるのではないことはわかっています。


ただ、実際に亡くしてみないとこの苦しさは決してわかりません。

一瞬だけ、自分が子どもを亡くした時のことを想像し苦しさを感じるかもしれないけれど、でも、それはあくまでもその一瞬だけです。

ちゃんと子どもは生きてるし、想像を止めれば、その苦しさは無くなってしまいます。

でも本当に子どもを亡くしたら、想像を絶する悲しみと苦しさに毎日24時間苛まされます。

だから、本当はわかるなんて軽々しく言って欲しくはないです。


そんな、余計な言葉を言うくらいなら、一緒にただ泣いて欲しい…

でなければ、そっとしておいてもらいたい…

申し訳ないですが、そんな風に思ってしまいます。


ただ、他人に理解してもらえない…

それはある程度仕方ない事なのかなとは思います。

だって、子どもを亡くすなんて特殊な経験をしてる人は周りにはほとんどいませんし、経験してみなければわからない苦しさだと思うから。


だから、理解してもらえなくても諦めもつきます。


むしろ、そんな周りの人より厄介なのは…夫と私の父母(亡くなった長男の祖父母)などの身内です。


身内だから遠慮なく悪気なくどんどん励ましの言葉を言ってくれます。

それも、心に突き刺さるような励ましの言葉でも遠慮なく…


「もっと大変な人だっているから頑張らないとね」

「まだ次男がいるんだし、いつまでも落ち込んでちゃダメよ」

「死に顔見て思ったよ。ああ苦しみから解放されたんだ、良かったって」


悪気が無いのは重々承知です…

でも、普通の時なら受け流せるものも、流石にこういう時は無理です。

グサグサと胸に刺さってきます。


夫はそういう思いに今はまだ耐えられないからと

「しばらくそっとしておいて欲しい」と言い出し

今は家に身内を一切寄せ付けないでいます。


新盆にも呼ぶつもりはないようで、その事を告げるため、私が夫と私の実家に電話をしたら

義母は「何もできなくてごめんなさい」と

何度も謝っていました。

義母はかなり高齢で、当然孫の自殺にショックを受けています。

ですから、義母に関しては逆に気の毒で仕方なかったです。

「こちらこそ、ごめんなさい」

そう返すのが精一杯でした。


やっぱり呼んであげた方がいいかな。


そう思いながら私の実家に電話したら、私の父が電話に出て言いました。

「気持ちはわかるが、いつまでもクヨクヨしてたって死んだ者が帰ってくるわけじゃないだろう。家族のために頑張らないでどうする」


ああ、やっぱり呼びたくない…


「まだ、そっとしておいて…」

何とかそれだけ告げて切りました。


お父さん、頑張れなんて、そんなことわざわざ言われなくたって私達が一番分かってるよ。

夫だって私だって、家族がいるからこそ、辛くたって毎日歯を食いしばって生きているんじゃないの。

わかってとは言わないけど、余計な励まし言うくらいなら、せめて黙って、そっとしておいて…


心の中でそう叫んでいました。


祖父母だって悲しくないわけではないことはわかっています。

私達が間違っているのかもしれませんが、

今は傷付かないように自分達を守るのが精一杯なんです。


この先どうなってしまうのか。


なんだか、やりきれません…